どうぶつのあかちゃんうまれた

鈴木まもる

どうぶつのあかちゃんうまれた

鈴木まもる

自分の寝床で猫があかちゃんを産んだことから、動物はどういう風にあかちゃんを産むのか疑問に思い、上野動物園の園長に編集協力をお願いし、キリン、ゾウ、カバ、サイ、パンダ、コウモリなど様々な動物の出産に焦点をあてた絵本をつくりました。

定価1,430円 (本体1,300円+税)

在庫あり

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対象年齢
3・4才 5・6才 小学校低学年 大人
発行日
2008年9月27日
ISBN
978-4-338-18028-3
判型/ページ数
26×22cm/32ページ
NDC/Cコード
NDC913/C8745
「どうぶつの あかちゃん うまれた」ができるまで 鈴木まもる
 僕がまだ少年だったころ、そのころは、車も今ほどは多くはなく、飼っているネコと家の前の道で遊んでいたときのことです。
 そこへ車が走って来て、ネコはパニック状態になり、車のほうに飛び出しました。そして車にはねられて、あっという間に僕の手のなかで死んでしまいました。
 初めて死と直面した体験でした。それから死に対する絶望感が僕の心に重くのしかかってきました。
 何年かのち、下宿のアパートで暮らす僕のところにネコがやって来て、寝ている僕のふとんのなかで子供を産みました。命の誕生と直面した体験でした。死の絶望感に打ち克つのは生の喜びしかないという思いが僕の心に刻まれ、このふたつの事柄は僕の心の奥にしまわれました。
 それから、僕はずっと生きる─物を創る─喜びを求めて生きてきました。今年になって、ひょんなことで高校の同窓会に出ることになりました。その会で、先輩で上野動物園の園長をされている小宮さんが、動物園での動物たちの映像を見せてくれました。その中にキリンの出産のビデオがあったのです。
 僕の心の中のなにかが、これを作品にしたい、という強い衝動となって動きだしました。鉛筆を持って、絵本のダミーを作り始めると、昔見たネコの出産の様子がまずでてきました。(きっと、この時がくるのを、僕の心の中でずっと待っていたのでしょう)
 あとは世界中のいろいろな動物たちの感動的な出産映像を見ることができ、生命の多様性と進化の不思議を知るおもしろさもあり、あっという間に1冊の絵本ができるのに充分の素材がそろいました。そうして最後は、やはりわが子の誕生という、新たな生の誕生という喜びへつながるラストが自然にでてきて絵本は完成したのです。
 生命の多様性と、すべての生命に根源のところで共通する、親子の愛のつながりが伝えられたらと思っています。

著者紹介

鈴木まもる スズキマモル

1952年、東京生まれ。東京藝術大学工芸科中退。
「黒ねこサンゴロウ」シリーズ(偕成社)で赤い鳥さし絵賞、『ぼくの鳥の巣絵日記』(偕成社)で講談社出版文化賞絵本賞、『ニワシドリのひみつ』(岩崎書店)で産経児童出版文化賞JR賞、『世界655種 鳥と卵と巣の大図鑑』(ブックマン社)であらえびす文化賞を受賞。主な絵本に、『ピン・ポン・バス』(偕成社)、『せんろはつづく』(金の星社)、『ウミガメものがたり』(童心社)、『みんなあかちゃんだった』『あかちゃんたいそう』『だっこ』(小峰書店)、ノンフィクション・エッセイに「バサラ山スケッチ通信」シリーズ(小峰書店)などがある。また、鳥の巣研究家として、『鳥の巣の本』『世界の鳥の巣の本』(岩崎書店)、『ツバメのたび』『日本の鳥の巣図鑑全259』(偕成社)、『わたり鳥』(童心社)、『生きものたちのつくる巣109』(エクスナレッジ)、『巣箱のなかで』(あかね書房)などの著書があり、全国で鳥の巣展覧会を開催している。

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